- 工場の自動化は「ロボットを入れるかどうか」からではなく、機械に渡す工程を1つ選ぶことから始める。
- 向いているのは、同じ動作の繰り返し/判断の基準を言葉にできる/人が張り付いている/人が採れない・定着しないの4条件がそろった工程。
- 投資に見合うかは、1個あたりの秒数・1日の処理数・その工程の人数の3つを測れば見積もれる。
- 少量多品種でも、ティーチングが不要な方式が出てきたため、以前断られた工程も検討し直す価値がある。
「うちの作業は特殊だから自動化は無理」。この判断は、たいてい工程を選ぶ前にされています。設備を検討する前に決めておくべきことを、現場で装置を設計する立場から整理しました。
自動化は「工程を1つ選ぶ」ことから始める
求人を出しても人が集まらない。採用できても数か月で辞めてしまう。製造現場で最も多く聞く悩みです。そして人が辞めていく工程は、たいてい決まっています。単純な繰り返しで、重くて、寒いか暑い場所です。
そこで自動化を考えるときに、いきなり「ロボットを入れるかどうか」から入ると、検討はほぼ止まります。先に決めるべきは、機械に渡す工程を1つ選ぶことです。ここを外すと、良い装置を入れても投資は回収できません。
自動化に向く工程の4条件
次の4つがそろっている工程から選びます。
- 同じ動作の繰り返しである
- 判断が少ない、または判断の基準を言葉にできる
「この傷は不良」と説明できるなら、画像検査の対象になります - 人が張り付いている
1個あたりの秒数 × 1日の数 × 人数 が大きい - 人が採れない、または定着しない
4つ目が特に重要です。求人を出しても埋まらなかった仕事は、そのまま自動化の有力候補になります。「人が来ないから機械に任せる」という順番であれば、社内の納得も得やすくなります。
最初に手を出さない方がよい工程
次のような工程は効果が出にくく、装置も高くなりがちです。
- 個体差が大きく、職人の勘に頼っている工程
- 月に数回しか流れない工程
- 段取りが毎回違う工程
「その工程こそ何とかしたい」と言われることも多いのですが、そこは後回しにします。条件のそろった工程で1件成功させ、社内に経験をためてから難しい工程に向かう方が、結果的に早く進みます。
投資に見合うかは、ストップウォッチ1つで見積もれる
候補の工程が決まったら、難しい調査は要りません。次の3つを測ります。
この3つで年間の工数が出ます。あとは人件費と装置の金額を並べれば、何年で回収できるかが見えます。この計算を説明できない案件は、補助金が採択されても社内の承認が通りにくくなります。逆にここを数字で説明できれば、設備投資の検討は大きく進みます。
「うちは少量多品種だから」への答え
少量多品種を理由に自動化を見送ってきた現場は多いと思います。従来のロボットは、図面データの入力と、品番ごとのティーチング(動作の教え込み)が前提でした。段取りのたびに教え直すのでは、小ロットでは割に合いません。
ただ、この前提は変わりつつあります。溶接では、ワークを置くと機械が位置と高さ、溶接する箇所を判断して加工する方式が実用化されています。図面がなく手書きの指示で流れている仕事でも、検討の対象になります。以前「ロボットは無理」と言われた工程も、一度聞き直す価値があります。
Quinyでは、この方式のレーザー自動溶接ロボット「ロボウェルシリーズ」を開発しています。(詳しくはこちら)
補助金は、使えるものから確認する
設備投資には、国や県の補助金を使える場合があります。省力化や設備投資を対象にした制度は複数あり、金額・補助率・対象経費は公募の回ごとに変わります。必ず最新の公募要領を確認してください。同じ経費に複数の補助金を重ねて使うことは、原則できません。
相談先は、各県の産業支援機関(石川県ならISICO)、よろず支援拠点、商工会議所・商工会、取引のある金融機関などです。設備の内容が固まる前でも相談できるので、工程を1つ選んだ段階で問い合わせておくと、スケジュールに余裕ができます。
Quinyでも、自動化の概略構想をお出しする際に、使える補助金・助成金をあわせてご提案し、活用をサポートしています。
まず1工程だけ
すべてを一度に自動化しようとすると、検討そのものが止まります。条件のそろった工程を1つだけ選び、そこに絞って数字を出す。1件目が動けば、2件目からは同じ考え方が使えます。
対象物、現在の作業、上の3つの数字(分かる範囲で構いません)をお知らせください。自動化に向くかどうか、どんな方法が考えられるか、概算費用はいくらかを無償でお伝えします。相談の流れを見る →